農地の転用について

なぜ農地の転用には許可や届出が必要なのか?

日本は国土の2/3が森林で国土が狭く、1億人を超える人口を抱えています。
さらに国土の中で農地は、食料を生産する基盤であり、むやみに農地を減少させることはできません。
そこで農地法は、計画的な土地利用の推進を目的として許可・届出制度を導入しています。
申請先は、農地の面積により知事許可、農林水産大臣許可と分かれることはありますが、市役所にある農業委員会に相談、申請することができます。

農地転用できる区分

農地を別の用途に使いたい場合(農地転用)、農地法の手続きをします。
例えば、自分の持っている農地に家を建てたい場合などです。

ですが、どんな農地でも農地転用できるわけでもありません。
市街化調整区域内の農地には次の区分があり、原則的に農地転用できない土地もあります。

農地区分 営農条件および市街化の状況 許可の方針
農用地区域内の
農地(青地
農業振興地域整備計画における農用地区域内の農地 原則不許可
甲種農地 市街化調整区域内の土地改良事業等の対象となった農地(8年以内)等、特に良好な営農条件を備えている農地 原則不許可
第1種農地 10ha以上の規模の1団の農地、土地改良事業等の対象となった農地等良好な営農条件を備えている農地 原則不許可
第2種農地 市街地化が見込まれる農地または山間地等の生産性の低い小集団の農地 周辺の土地で目的が達成できる場合は原則不許可
第3種農地 市街地の区域または市街化の傾向が著しい区域にある農地 原則許可

農用地区域内農地(青地農地)、第1種農地、甲種農地については原則的に農地転用できません。
しかし、農地転用が可能となる場合もあります。

例えば
1.農用地区域内農地(青地農地)を農用地利用計画変更(除外申請)をした場合
  農用地除外申請を経てから農地転用するケースです。

2.第1種農地だが対象地周辺の地域において居住する者の日常生活上または業務上必要な施設で集落に接続して設置される場合 
例えば、1種農地だが分家住宅を建てたい場合で申請地と本家敷地が隣接(集落接続)しているようなケースをいいます。この場合、例外規定が適用され農地転用ができる可能性があります。

両方とも条件は厳しいですが、満たすことができれば例外として農地転用ができる可能性があります。
いずれにしても、農地転用については、該当農地が青地かどうか転用できる農地かどうか、農業委員会へ農地の詳細(所在地・地番・面積・現況等)をもって事前確認・相談することが必要です。

農地転用等の許可の種類

農地法第3条

農地の売買、贈与、賃貸借ならびに使用貸借等には許可が必要です。
<例>自分の農地を第3者へ農地として売る。

□農地は、現在権利を有している面積と新たに取得しようとする面積の合計が農地法で定める面積以上(いわゆる下限面積)でないと取得できません。
□農地を取得した場合、農地を荒廃させることなく効率的に利用して耕作を行い、取得後3年間は転用または転売等しないことが条件になります。

農地法第4条
農地を自己使用目的により転用するときには許可が必要です。
(市街化区域の場合は届出が必要です)
<例>自分の農地に住宅を建設する。(宅地にする)
農地法第5条
農地の売買、贈与、賃貸借ならびに使用貸借等の権利移転等を伴う転用には許可が必要です。
(市街化区域の場合は届出が必要です)
<例>自分の農地を、宅地として第3者へ売る。

申請内容

申請には、申請内容を記載する申請書だけではなく、多くの作成書類や図面、添付書類が必要です。
申請する農地法によって、異なりますが、ここでは農地法5条の許可申請について説明しておきたいと思います。
ちなみに、許可申請の場合は基本的に申請は月1回で、許可まで1カ月程度かかります。
例えば、大津の農業委員会では毎月16日、草津の農業委員会では毎月20日が締め切りです。
届出の場合は、特に締め切りはありません。
以下の一覧は、大津市の農業委員会事務局がホームページで配布している「農地法第5条第1項許可」申請書類一覧を簡素化しまとめたものです。各資料や申請書類をダウンロードもできますので、詳しくはリンクページをご参照ください。
市町村によって、書式や内容が多少異なる場合がありますので、実際に提出の際には、各農業委員会事務局の指示に従って作成・提出願います。

 大津市農業委員会事務局ページ

申請書類一覧(農地法5条)

※全体把握のため、各書類の詳細や規定を省いております。実際に作成する際は指示・書式に合わせた記載・作成が必要となりますので、ご注意ください。

申請書類
1 許可申請書 申請概要のようなもの。A4・2枚分
2 転用事由の詳細証明書 転用目的別に様式あり。
1.農家住宅等で建築物のある場合
2.資材置き場・駐車場等で建築物のない場合
3 隣地関係図 隣接地の地番・地目・所有者を表示
4 隣地者承諾書 申請地から2m以内に他人の農地がある場合
5 土地改良事業主体との調整を了したことの証明書 ほ場整備区域内の農地の場合
6 誓約書 開発行為の必要な建築物等の建築を行わないこと
7 承諾書 代理申請の場合
添付書類
1 登記事項証明書【法務局】
(登記簿謄本の原本)
①6カ月以内に発行
②現住所と異なる場合(住民票、住居表示証明書)
2 法人関係書類 ①定款の写し
②法人の登記事項証明書
3 公図の写し【法務局備付】 ①申請地が字の端にある場合は隣接地の構図も必要
②里道=赤、水路=青色に塗り分け
4 位置図(A3で2種) ①縮尺違い2種(1:100000、1:2500)
市役所まちづくり計画課で購入
5 土地利用計画図(A3) ①縮尺(1:100もしくは1:500)
②以下を記載した具体的かつ正確な図面
土地の形状、水路、通路、道路、河川、各種構造物、車両出入口、建築物や資材の種類と配置、雨水雑排水の経路(赤矢印で表示)、隣接地の地番・地目・面積・所有者(耕作者)
③隣地・周辺の営農環境への被害防除施設を具体的に表示。
(具体例)土留めのためのL字擁壁、油流出防止のための油水分離槽、雨水排水施設、資材置き場の資材保持施設など
※被害防除施設は、申請書類の内容と一致させ、見積書にも反映
6 縦断図・横断図(A3) 現状線と計画線を表示
7 建物・施設の計画図(A3) 平面図と立面図を作成
8 地元関係者との協議書 排水関係、通行関係など
9 資金関係書類 ①工事見積書(「原本に相違ない」ことの証明印(申請者名・申請者印)
②資金証明書(銀行の預金残高証明書など)
10 他法令許可書の写し、
または申請書の写し
(具体例)開発許可通知書、埋立等許可決定通知書、官民境界画定協議書など
11 太陽光発電設備関係書類 ※太陽光発電設備を設置する場合のみ
①経済産業省発行(再生可能エネルギー発電設備の認定書の写し等)
②関西電力に提出したもの(再生可能エネルギー発電設備に関する系統連携申込書兼電力販売申込書の写し
12 その他書類 ※転用の目的、申請地の土地利用規制等により、この他にも必要となる添付書類がある場合があります。

※添付書類は、農地嵩上時には追加書類が発生します。

市街化調整区域内の土地に建物をたてたい

市街化調整区域内の土地に建物を建築する場合、都市計画法の手続きが必要です。自己用住宅では<都市計画法施行規則第60条 適合証明>または<都市計画法第43条 建築許可>の申請が必要となります。

都市計画法43条申請の手続き

都市計画法43条申請とは市街化調整区域内で一定規模以下の建築(開発)をする場合の手続きです。
60条の適合証明とは建築確認を申請するときに都市計画法の規定に適合していることの証明書類になるものです。

市街化調整区域内の土地は建築制限があり、原則的には建物を新築できません。
しかし、一定の条件を満たしている方であれば市街化調整区域内でも手続きをして建築できます。

例えばどんな人がする手続き?

都市計画法43条申請(適合証明)はこのような方のための手続きです。

市街化調整区域内の・・・
親が持っている土地に自己用住宅を建築したい
>住宅の分家申請といい、自己所有地に子や孫が住宅を建てる際の申請方法です。

大規模既存集落内の土地に自己用住宅を建築したい
>市が指定する大規模既存集落に自己用住宅を建築するためには都市計画法43条申請の手続きをします。

市街地縁辺集落内の土地に自己用住宅を建築したい
>市が指定する市街地縁辺区域に住宅等を建築するためには都市計画法43条申請の手続きをします。

線引き前宅地を利用して自己用住宅を建築したい
>線引き前宅地に住宅等を建築するためには都市計画法43条申請の手続きをします。