軽貨物自動車の黒ナンバー

貨物軽自動車運送事業とは

貨物軽自動車運送事業とは、軽トラックやバイクを利用して、荷主の荷物を運送する事業のことです。
ネット通販の宅配事業の急成長によって、軽自動車を使った運送事業も飛躍的に伸びています。

一般的に運送業と聞いて思い浮かぶのは、大型トラックを使った運送事業だと思いますが、これらは一般貨物運送事業と呼ばれ、大型トラックが5台以上必要な「許可制」となります。

一方、軽自動車1台から始められる貨物軽自動車運送事業は、「届出制」です。
一般貨物のように、トラックや車庫、営業所などの費用が掛からずに初期費用を抑えた事業の開始ができるのも特徴です。

貨物軽自動車運送事業が正式名称ですが、一般的には「軽貨物」と呼ばれることも多いです。

また、軽貨物自動車を事業用として登録しますと、黄色ナンバーから黒色ナンバーへ変更することができます。

軽貨物を新たに始めるためには

軽貨物(貨物軽自動車運送事業)を始めるには、基本は、使用する軽自動車や車庫(駐車場)と必要書類を準備し、運輸支局へ届出するだけです。ここでは、準備段階から開始までを順に説明してきたいと思います。

開始に必要な要件の準備

開始には、以下の必要要件を満たす必要があります。
要件の確認と、準備を行っていきましょう。

 車両について
・軽貨物車1台以上が必要です。
・自動車の構造として、基本的に車検証の用途が「貨物」となっていることが必要です。
 乗車定員は原則として2名以下。最大積載量、構造等が貨物軽自動車運送事業に使用する車両として不適切でないこと。
(軽貨物車ではない乗用タイプの軽自動車の場合は、原則、軽貨物車へ構造を変更する必要があります)

 車庫
①営業所に併設されていること。併設できない場合は、営業所の距離が2km以内であること。
②運送事業に使用する軽貨物車すべてを駐車できること。
③使用権限を有すること。(リース契約でも可です)
④農地法や建築基準法等の都市計画法等関係法令に抵触しないこと。
(一般貨物運送事業では、注意を要しますが、1台で始める軽貨物であれば、基本問題になりません)
⑤軽貨物自動車の駐車場所が、他の用途に使用される場所と明確に区分されていること。

休憩・睡眠施設
特に面積などの要件はなく、乗務員が有効に利用することができる適切な施設であること。
(自宅でも可能です)

 運行管理体制
運送事業の適切な運営を確保するために運行管理等の管理体制を整えているものであること。
(運行管理者資格は必要ありません。)

 運送約款
国土交通大臣が定めた標準約款を使用する場合は、約款の添付は不要です。

一見細かく規定されていますが、事業開始に当たり事前準備で必要なものは、事業計画と、軽貨物自動車1台以上、駐車場ということになります。

必要な書類

①貨物軽自動車運送事業経営届出書(様式1)
氏名、住所、使用する自動車の台数や、車庫の場所等、A4用紙1枚の届出書です。
法人の場合は、実印が必要ですが、個人の場合は認印で大丈夫です。

②運賃料金設定届出書
こちらも、基本的な運賃の種類などは運賃料金表として添付しますので、届出用紙となります。
③運賃料金表
こちらは、見本もありますが、「距離制」「時間制」「諸料金(待機・積込みなど)」「割増率(深夜早朝など)」「運賃料金の適用方法(計算方法)」などをまとめた表です。事業の開始にあたり、どのような料金体系で仕事を請け負うかを設定したものです。
④事業用自動車連絡書(1両につき1枚)
この書類を作成し、運輸局の輸送部門(企画輸送部門)に確認印をもらった後、軽自動車検査協会で手続します。
⑤車検証の写し(新車:完成検査証の写し)

各種書類のダウンロードや、書き方は下記ページをご参照ください。

大阪運輸支局ホームページ(軽貨物運送を参照)

書類一式を運輸支局へ提出

上記で作成した書類を営業所(自宅事務所でも可)を管轄する運輸支局へ提出します。
提出書類に不備がなければ、申請日当日に「事業用自動車連絡書」が発行されますので、そのまま軽自動車検査協会で手続きを行えば、車両のナンバー変更(黒ナンバー)まで完了することができ、その日から事業を開始することが可能です。

自動車任意保険に加入

通常の自家用車でも自賠責保険の他に、「対人無制限・対物1億円」のような任意保険に加入されていると思いますが、車で事業を営むのですから、自動車任意保険への加入も必須でしょう。

しかし、黒ナンバーの場合、自家用車と異なり、取り扱いのある保険会社が限られています。
また、保険料も割高で、自家用車と比較して2倍~3倍は違います。
自動車保険はリスクによって保険料が変動しますので、使用頻度が高く、走行距離も長くなる黒ナンバーは、事故リスクが高いとみなされます。

 黒ナンバー取扱い保険会社(参考)

・東京海上日動火災
・損保ジャパン
・三井住友海上火災
・あいおいニッセイ同保損保
・共栄火災
・AIG損保
・楽天損保

個人事業として開業される方は

新しく軽貨物事業を個人として始められる方は、税務署へ開業届、青色申告承認申請書を提出しましょう。
青色申告は必須ではありませんが、65万円の青色申告控除、3年の赤字繰越というメリットがありますので、お得です。
最近では、会計ソフトも簡単入力のものも多いので、ぜひチャレンジしてください。