許可取得後の注意事項と義務
(1)許可証について
(1) 許可証の取扱い
ア 許可証は事務所等の見やすい場所に掲示してください。
イ 他人に譲渡し、または貸与することはできません。
ウ 廃業等の理由によって不要となった許可証は、速やかに返納してください。
エ 許可証の写しを、運搬車両等に備え付けておいてください。
(2) 取り扱うことができる(特別管理)産業廃棄物
取り扱うことのできる(特別管理)産業廃棄物は許可証に記載されている種類に限られており、そ
れ以外の(特別管理)産業廃棄物を取り扱うことはできません。
(2)処理基準の遵守
産業廃棄物処理業者は、次に掲げる産業廃棄物処理基準に従って産業廃棄物の収集運搬をしなければなりません。
1 産業廃棄物の収集または運搬に当たっては次によること。
(1) 産業廃棄物が飛散し、および流出しないようにすること。
(2) 収集または運搬に伴う悪臭、騒音または振動によって生活環境の保全上支障が生じないように必要な措置を講ずること。
2 産業廃棄物の収集または運搬のための施設を設置する場合には、生活環境の保全上支障を生ずるおそれのないように必要な措置を講ずること。
3 運搬車、運搬容器および運搬用パイプラインは、産業廃棄物が飛散し、および流出し、ならびに悪臭が漏れるおそれのないものであること。
4 運搬車を用いて産業廃棄物の収集または運搬を行う場合には、環境省令で定めるところにより、次に示す産業廃棄物収集運搬車に係る表示、書面の備付けをすること。
(1) 産業廃棄物運搬車に必要な表示内容 (表示例を下記に掲載しています。)
・産業廃棄物の収集または運搬の用に供する運搬車である旨
・許可業者の氏名または名称
・統一許可番号(下6けた)
(2) 運搬車を用いて産業廃棄物の収集または運搬を行う場合には、当該運搬車に次の書面を備え付けておくことが必要です。
・産業廃棄物収集運搬業の許可証の写し
・産業廃棄物管理票(マニフェスト)(なお、電子マニフェストを使用する場合は、電子マニフェスト加入証、および運搬する産業廃棄物の種類・量等を記載した書面またはこれらの電子情報とその情報を表示できる機器)
5 石綿含有産業廃棄物または水銀使用製品産業廃棄物の収集または運搬を行う場合には、石綿
含有産業廃棄物または水銀使用製品産業廃棄物が、破砕することのないような方法により、かつ、その他の物と混合するおそれがないように他の物と区分して、収集し、または運搬すること。
産業廃棄物収集運搬車の表示例
車両の両側面に表示が必要です。
表示はマグネットシートによるものでもOKで、見やすく鮮明で識別しやすい色の文字であることが求められます。「産業廃棄物収集運搬車」を2段組みにすればA4サイズへのプリントも可能です。
ネットでも1枚当たり1500円~2000円程度で販売されています。
(3)再委託の禁止
再委託は緊急時等一部の例外を除いて禁止です。
一部の例外とは、収集運搬業者の車両が故障し、自社のみでは運搬しきれない状況等が生じた場合や、処分業者の施設が故障等によって受託した産業廃棄物を受入れ処分できない等、他人に委託せざるを得ない突発緊急的な事態等に、次に示す再委託基準に従って委託する場合1回だけに限って認められているものであり、それ以外での状況における再委託は禁止されています。
(4)帳簿の記載および保存
処理業者は帳簿を備え、産業廃棄物の種類ごとに次の記載事項に従って処理の状況を記載しなければなりません。
<収集運搬業(積替え・保管を除く)の帳簿例> | |||||||||
産業廃棄物の種類 | 廃プラスチック類 | ||||||||
委託者 | 処分先 | ||||||||
収集運搬年月日 | 名称 | 管理票交付者氏名 | 交付年月日 | 交付番号 | 廃棄物が出た場所 | 量 | 名称 | 運搬先の住所 | 量 |
平成28年7月10日 | 環境建設(株) | 滋賀太郎 | 平成28年7月10日 | 大津市中央 | 1t | 循環産業(株) | 草津市 | 1t | |
平成28年7月20日 | 適正工務店(株) | 近江花子 | 平成28年7月20日 | 湖南市 | 0.5t | 完全処理公社 | 甲賀市 | 0.5t |
(5)委託基準
事業者が産業廃棄物の処理を他人に委託する場合は、基準に従って、運搬については収集運搬業者に、処分等については処分業者に、それぞれ委託しなければなりません。
① 産業廃棄物の処理を委託する場合(法第 12 条第6項)
ア 他人の産業廃棄物の運搬または処分等を業として行うことができる者であって委託しようとする産業廃棄物の運搬または処分がその事業の範囲に含まれるものに委託しなければなりません。
イ 委託契約は、書面により行い、定められた条項が含まれ、かつ、環境省令で定める書面(収集運搬業の許可証の写し)が添付されていることが必要です。また、その契約書は、契約の終了の日から5年間保存する必要があります。
ウ 事業者は、再委託を承諾したときは、環境省令で定められた事項が記載された書面の写しを、承諾した日から5年間保存すること。
契約書に関しては、各取引形態に応じて、ひな型を作成し、運用するのが望ましいと思います。
また、取引先が指定している契約書がある場合は事前に内容を確認検討し運用するようにしましょう。
(6)産業廃棄物管理票(マニフェスト)制度
産業廃棄物管理票(マニフェスト)制度は、排出事業者が、収集運搬業者・処分業者に委託した産
業廃棄物の処理状況を把握し、不法投棄の防止など、適正な処理を確保することを目的としています。
産業廃棄物を委託する場合には紙マニフェストまたは電子マニフェストのどちらかを選択し、使用し
なければなりません。
排出事業者、収集運搬業者、処分業者は、それぞれマニフェストを5年間保存しなければなりませ
ん。
・電子マニフェストとは、紙製のマニフェストに代えて、記載事項等を電子化し、排出事業者、収集運搬業者、処分業者の3者が情報処理センターを介したネットワーク内でやり取りするもので、排出事業者や産業廃棄物処理業者にとって、情報管理の合理化につながることや産業廃棄物処理情報の透明性が確保されるなど、その普及が強く求められています。
・電子マニフェストに関する詳細については、廃棄物処理法に基づき環境大臣が指定した情報処理センターである公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター【情報処理センター、TEL:0800-800-9023(直通)】にお問合せください。
公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターのページはコチラ
・電子マニフェストの使用義務は、前々年度の特別管理産業廃棄物(PCB除く)の発生量が50t以上の事業場から特別管理産業廃棄物(PCB除く)の処理を委託する場合のみ対象となっています。つまり、通常の産業廃棄物の収集運搬では義務ではありませんが、令和2年度時点で全体の60%程度が加入しており、頻度の高い業者や依頼者(排出業者)の依頼がある場合は加入するのが望ましいといえます。収集運搬業者の場合は、年間13,200円の費用がかかります。
(7)委託者への通知義務
排出事業者から委託を受けている(特別管理)産業廃棄物の収集運搬を適正に行うことが困難となり、または困難となるおそれがある事由として次に掲げる事由が生じたときは、その事由が生じた日から 10 日以内に内容を明らかにした書面または電子ファイルにより、委託者へ通知しなければなりません。
また、通知をした時は、その書面の写しまたは電子ファイルをその通知の日から5年間保存しなければなりません。
① 事業の全部または一部を廃止したことにより、現に委託を受けている産業廃棄物の収集運搬が、その事業の範囲に含まれないことになった場合
② 欠格要件(その業務に関し不正または不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者、暴力団員および暴力団員等がその事業活動を支配する者を除く。)に該当するに至った場合
③ 法第 14 条の3に基づく事業停止命令等を受けた場合