公共工事に入札するには?

建設業許可を取得した後、公共工事を元請けとして受注するためには、経営事項審査・入札参加資格審査・入札という流れを踏むことになります。
建設業許可を取得しても、公共工事に入札しない場合は、経営事項審査や入札参加資格審査などは必要ありません。ただし、決算変更届(事業年度終了届)は、決算日の4か月以内に毎年度行う必要がありますのでご注意ください。

公共工事入札の流れ
STEP1 建設業許可
STEP2 決算変更届(事業年度終了届)
STEP3 経営状況分析
STEP4 経営規模等評価申請(経審)
STEP5 入札参加資格審査申請(指名願い)
STEP6 入札(電子入札システム等)
STEP7 落札(入札情報公開システム等)

それぞれの申請・届出は、決算日や都道府県・市町村によって決められていますので、順番に確認していきたいと思います。例として、滋賀県守山市にある建設会社(法人)3月末決算とします。

  1. 建設業許可

    滋賀県庁へ申請します。
    内容確認で事前審査等必要ですが、時期は決まっていません。ただし、承認後すぐに決算日を迎える場合は、すぐに決算変更届が必要になりますので、例えば3月末決算の会社で1月申請や、個人事業主さんで基本事業年度が1月~12月(確定申告の年度)の場合の11月申請など、注意が必要です。

  2. 決算変更届

    経営事項審査を申請するためには、建設業許可を取得後、決算日を迎える必要があります。決算日を迎えた後、決算日から4か月以内に決算変更届を提出しなければなりません。
    法人の場合は、通常、決算日から2カ月以内に税務署への申告が必要になりますので、その後に決算変更届を提出することになります。

  3. 経営状況分析

    決算変更届でも使用した財務諸表(貸借対照表、損益計算書など)や建設業許可通知書の写しなどの書類を揃え、国土交通省に認可された民間の経営状況分析機関で経営状況分析を受けます。
    機関毎に手数料や期間は多少異なりますが、手数料で1万~1万5000円、2~7日程度で結果通知書が出ます。

  4. 経営規模等評価申請

    滋賀県庁へ経営状況分析結果通知書とともに、申請書類や添付書類およびA4ファイルに綴じた各種確認書類を提出し申請します。
    審査基準日は、原則として申請直前の決算日となります。
    決算日の後、4か月以内に決算変更届を提出し、その後1週間弱で経営状況分析を受け、経審(経営事項審査)を受けるわけです。この、経審は決算日によって、申請日が決まっています。3月決算の場合は、8月です。
    決算日は日本の場合、法人では3月末が多く、個人は確定申告のため12月末となっていますが、法人の場合は自由に設定できますので、これ以外の決算日もあります。順に決算日と申請日を滋賀県の場合でまとめると、10月決算⇒3月申請、11,12月決算⇒4月申請、個人(12月)⇒5月申請、1,2月決算⇒7月申請、3,4月決算⇒8月申請、5~9月決算⇒10月下旬~12月申請となります。
    経審は、申請から1か月弱くらいで結果通知されます。
    結果は、透明性の向上による公正さの確保のため、建設業情報管理センターのホームぺージ上で閲覧することができます。
    建設業情報管理センター

    経審の有効期限は審査基準日(決算日)から1年7カ月なっています。
    起算日が、申請日や結果通知日ではなく、決算日ですので、実際は期限がずれて変わっていくのではなく、毎年度経営事項審査が必要ということになります。なので、次年度の決算日を迎えた時点で有効期限は1年経過していて、その後7カ月以内に再度、決算変更届・経営状況分析・経営事項審査を受けるということになります。

  5. 入札参加資格審査申請(指名願)

    経営事項審査を終えて、入札できるようになるかというと、もう1STEP申請する必要があります。
    入札したい公共工事の発注機関(都道府県や市町村)毎に、入札参加資格審査申請を行う必要があります。こちらは、入札する前にその資格について申請するものですので、基本的に随時ではありません。滋賀県の場合は、基本的に年1回の決まった時期に申請する必要があります。
    全体としては、毎年度10月~1月くらいに申請するということになります。
    滋賀県への申請は、決算日が10月~4月の場合、10月申請。決算日が5月~9月の場合は、10月下旬から12月にかけて行われる経審の受付と同時に申請します。
    滋賀県下の市(大津市、守山市、甲賀市、長浜市等)は、市ごとに1月頃申請を受け付けています。
    入札参加資格審査は、事業所のある市外や県外へも申請できます。地元業者は評価点なども優遇されますので、地元以外では受注しにくい工事もありますが、特殊な技術を要する工事や、大規模な工事などは、地元以外の業者が落札することも多いようです。

  6. 入札(電子入札システム・入札情報公開システム)

    都道府県、市町村の入札情報をホームぺージ等で確認し、入札します。
    公共工事は、最低制限価格以上で最も低い入札価格で落札されますが、最低制限価格を事前ではなく、事後発表とするものも多くなってきました。更に入札金額内訳(見積詳細)書類の添付が平成26年の法律改正により義務化されております。
    入札するまでのステップに加え、見積能力により、利益を出せる入札価格を設定する必要もあります。経審も毎年度受け続けなければなりませんので。事業計画に基づき、必要かどうかについても検討する必要があります。
    ちなみに、令和2年度の滋賀県の建設工事等入札参加有資格者名簿における登録業者数は、複数の工事に登録することができるため、工事内容ごとのグロスで2,607業者、ネット(実数)で1,388業者となっており、この滋賀県内の業者に加え、県外の登録業者がネットで599業者あります。
    工事内容で最も登録が多いのは「土木一式」で987業者、次いで「ほ装」251業者、「建築附帯」242業者、「給排水冷暖房」231業者となっています。

滋賀県ホームページ公共工事関連